「生み出された」言語
私達が使っている日本語がどのように生まれたのか意識した事はあるでしょうか。世界には自覚的に「生み出された」言語が多数あります。例えば、自分たちの政治権力を強める、独立した集団であることを示す、国としてまとまる為に権力の側が整備した言語。あるいは他言語間での交易の為に人々の中から生まれてきた言葉が広まり多くの話者を獲得し、母語となった言語。何げなく使っている言語ですが、なぜそれは言語となったのか、2つの言語を例に見ていきます。
『古代スラヴ語の世界史』
古代スラヴ語とは、9世紀後半~11世紀にかけてスラヴ人たちがキリスト教の聖書などの為に文語として生み出した言語です。既存言語とは別に新しく言語を生み出した背景には、キリスト教の東方進出とそれに伴う政治的な主権争いがありました。古代において言語の持つ力の強さはどれほどだったのか、そして現在スラヴ諸語はなぜ分かれているのか。当たり前にある言語も実は歴史に翻弄され、変わり続けてきたのだと、気付く一冊です。
Book Info →『出会いが生む言葉 クレオール語に恋して』
異なる言語を話す人々の出会いの中で生まれ、世代を超えて磨きぬかれて誰かの母語となった言語──それがクレオール語です。英語系・フランス語系・ポルトガル語系のクレオール語まで、ピジン語からクレオール語への移行と研究小史を、ポルトガル語学の専門家である筆者が軽快な筆致で案内します。大航海時代以降にポルトガル語が世界各地に残した足あととしてのクレオール語にも光が当てられ、変化を恐れず歩み続ける言語の魅力に出会える一冊です。
Book Info →二冊を読み合わせる
今回紹介した、古代スラヴ語は典礼言語、クレオール語の元となったピジン語は接触言語と呼ばれており、世界中に様々な言語として存在しており、実は日本にも典礼言語とピジン語があります。また言語として系統立て「作り直す」ことは、日本語含めどんな言語でも近代化や独立に際して行われています。
そして今現在も言語は混ざり、変化し続けています。私達にとって最も身近な存在である言語、実は私達は言語のことを何も知らないのかもしれません。







