日本社会の多様性
私たちの住む日本は非常にまとまりの良い社会であると考えられています。多民族から成り立っている世界の多くの国々と比べれば、確かにそれは事実と言えましょう。しかし、「日本が均質的な社会である」という前提のもとで見逃してしまうものもあるのではないでしょうか。日本の「内なる差異」と「外部の包摂」について考えます。
『東と西の語る日本の歴史』
関西と関東の食文化の違いは有名なところですが、実は想像以上に東日本と西日本は異なるのではないか?「日本人単一民族説」にこのように異を唱えたのが中世史家の網野義彦でした。古典的な著作であり必ずしも今日の学説には合致しませんが、東西日本の社会の違いからみた歴史像は、現代の日本列島に生きる私たちにも新しい視座を与えてくれます。
Book Info →『アイヌと縄文』
旭川市博物館の館長を務める考古学者による、日本列島北辺史の入門書。考古学をはじめ歴史、言語、遺伝学等のさまざまな証拠から、先史の縄文人の文化と近世アイヌ文化との連続性を説明しています。最終章でのアイヌにおける商品交換の忌避と和人がもたらした変質についての考察は興味深く、アイヌに取材したある種の経済思想書とも言えるでしょう。
Book Info →二冊を読み合わせる
先史から近代に至る歴史の過程で、日本という社会の範囲は幾度となく変化してきました。均質的に見える日本の社会も、ミクロにみると多様な出自の人々で構成されていることが分かります。
こうした歴史のダイナミクスはそれ自体面白いものでもある一方、多様なアイデンティティの源泉でもあることを頭の隅に置かなければなりません。それは昨今、ますますグローバル化する社会と向き合う上での糸口ともなるでしょう。







