日曜日, 4月 28, 2024

会社名  :株式会社ジブンジンブン

設立   :2024年4月1日

ホーム一冊より二冊イスラム芸術の世界にようこそ

イスラム芸術の世界にようこそ

はじめに

日本でイスラム教徒の方を見かけたり、石油や政治情勢、昨今では旅行先として中央アジアが人気など、様々な機会を通してイスラムの世界を垣間見ることが増えています。しかしそれでもやはり欧米よりは馴染みがないと思われがち...歴史や政治、宗教思想など構えた話からではなく、小説や美術品・工芸品など私達にとっても身近な「モノ」を通して、イスラム世界への理解を深めてみませんか。

『わたしの名は赤』

著:オルハン パムク
早川書房

時は16世紀末オスマン帝国の首都イスタンブールで、とある細密画師が殺害されます。犯人は誰なのか、なぜ殺人は起きたのか、宮廷お抱えの絵師達らの独白を通して徐々に明らかになっていきます。推理物としてだけでなく、オスマン帝国の広大さと東西文化の交わり、時代のうねり、そして芸術の政治へ果たす役割を体感し、読み手もオスマン帝国の民の気持ちを味わえる小説です。

『すぐわかるイスラームの美術 建築・写本芸術・工芸』

著:桝屋 友子
東京美術

日本美術・西洋美術と聞くと北斎/ダ・ヴィンチなどの芸術家の名前や〈ひまわり〉などの作品を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ではイスラム美術と聞くと何を思い浮かべますか?イスラム美術はアラベスクや絨毯だけではありません。この本では、建築そのものや写本、細密画、陶器、ガラス工芸、カリグラフィなど多種多様な芸術品とそれらが表すモノを知ることができます。読み終わった時には巻末に掲載されている美術館に行く計画を立て始めること間違いなしです。

まとめ

美術とその担い手が鍵を握る小説と、美術品・工芸品そのものの解説、双方を通して見えてくるのは、イスラム教の教えや彼らが受け継いできた歴史や思想と、彼ら/彼らと交流のある人々の生み出す「モノ」の深く美しい結び付きです。彼らが「モノ」に込めた考えを知った上で、改めてモスクなどの建築物やガラス工芸といった装飾品、『千夜一夜物語』などの物語を見つめると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。