人文学を、外へ。
もうひとつの地図
人文学は、大学のなかだけで営まれているものではありません。研究者の個人発信、市民が集う学校、独立書店の棚、深夜のポッドキャスト——人文知は、いま、さまざまな場所で生まれ、交わされています。
このページは、ジブンジンブン以外の場所で人文学に出会いたい方への、ささやかな案内所です。編集部が「これは確かに」と思える活動を、ジブンジンブンの視点を添えて少しずつ紹介していきます。
学術系クラウドファンディング/パトロネッジ
研究者の研究資金や活動を支える支援プラットフォーム
academist
SINCE 2014研究者が自身の研究計画を発信し、共感した支援者から資金を得るプラットフォーム。一般的なスポット支援型に加え、特定の研究者を継続的に応援する月額支援型のプロジェクトも掲載されています。学術系に特化したサービスとして、自然科学から人文学まで幅広い分野を扱ってきました。
研究を「外から応援する」体験は、研究者と社会の距離を変える大事な試みだと感じています。月額支援型を覗くと、ある研究者の関心や進捗を継続的に追いかけられる。本を一冊読むのとは別の角度から、人文学に関わる入口になるかもしれません。
市民向け人文学スクール・講座
誰でも参加できる人文学の学校・講座
国立人文研究所
SINCE 2016大学教員と大学院生を中心とした人文学の専門家と、哲学・文学・歴史学などを学びたい市民をつなぐコミュニティ。誰にでも開かれた人文学の学校「KUNILABO(くにらぼ)」を運営しており、本格的な人文学講座のほか、自由に議論する「じんぶんカフェ」も開かれています。
「人文学を学びたいが、大学に戻るのは難しい」という人に、まず勧めたい場所です。講師陣は現役の研究者ばかり。一人で本を読むだけでは届かない、学びの密度や対話の楽しさがここにあります。じんぶんカフェのような場が継続している貴重さも含めて、ぜひ覗いてみてください。
人文系の学生・若手ジャーナル
学生や若手研究者が運営・寄稿する研究誌
研究者個人のnote/ブログ/Substack
研究者個人が継続的に発信しているメディア
人文系Podcast・YouTube
音声/映像で人文学を伝えるコンテンツ
COTEN RADIO
JAPAN PODCAST AWARDS 2019 大賞株式会社COTENが配信する歴史Podcast。古今東西の人物や出来事を取り上げ、現代を生きる私たちの視点と接続する語りで知られています。月額サポート制度「COTEN CREW」も運営しており、人文知をめぐる新しいパトロネッジの形としても注目されています。
「歴史エンタメ」の枠を越えて、「なぜ人文知が必要なのか」という問いを社会に投げ続けてきた点に、ジブンジンブンとしても深く共感します。番組そのものはもちろんですが、人文知を社会に開く事業のあり方そのものが、いまの時代へのひとつの応答になっていると感じます。
ゆる言語学ラジオ
水野太貴さんと堀元見さんが2021年から配信しているPodcast/YouTube番組。学術書や研究論文を下敷きに、言語をめぐる話題を「ゆるく楽しく」語る形式で展開され、2026年にはJAPAN PODCAST AWARDS大賞を受賞しました。姉妹番組「ゆるコンピュータ科学ラジオ」など関連シリーズも展開しています。
編集部でも作業中に流していると、つい本編に引き込まれて手が止まってしまう、そんな番組です。学術的なテーマを正確に伝えるための綿密な準備と、それを「ゆるく楽しい雑談」として届ける構成力が両立している点に、毎回唸らされます。「ゆるコンピュータ科学ラジオ」など姉妹シリーズと合わせて、人文学にとどまらない学問の面白さに出会える入り口になると思います。
独立系書店・ブックイベント
人文書を扱う独立書店、関連イベント
本屋B&B
2012年に東京・下北沢で開業した、ブック・コーディネーター内沼晋太郎さんらが共同経営する新刊書店。店名は「BOOKS&BEER」の略で、ビールを片手に本を選べる空間と、ほぼ毎日開催されるトークイベントが大きな特徴です。テーマ別に本を編む「文脈棚」という独自のセレクションも続けています。
私たちジブンジンブンも一度こちらでイベントを開かせていただいたことがあり、本を売るだけでなく「人が集まる場としての本屋」を体現している姿に、毎回背筋が伸びる思いがしました。トークイベントを日々の営みとして運営し続けてきた蓄積は、人文書を社会に届ける活動のひとつの形として、私たちにも多くの示唆をくれます。下北沢に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
Title (荻窪)
2016年に東京・荻窪に開業した新刊書店。リブロ池袋本店マネージャーを経て独立した辻山良雄さんが店主を務め、1階が書店とカフェ、2階がギャラリーという構成です。「人がよりよく生きていくこと」としての生活に寄り添う選書を軸に、毎日更新される「毎日のほん」をはじめ、店主自身の言葉で本を手渡す姿勢が貫かれています。
店主・辻山さんの『本屋、はじめました』『小さな声、光る棚』といった著作からも伝わる通り、書き手としての言葉を持つ店主が選び抜いた本に出会える場所です。併設カフェの落ち着いた雰囲気も含めて、「本との時間そのもの」を味わえる空間だと感じます。荻窪駅から少し歩く立地ですが、その距離感もTitleならではの体験のひとつになっています。
人文学系の研究会・読書会コミュニティ
読書会や勉強会など継続する知的コミュニティ

