人文学を、外へ。
もうひとつの地図
人文学は、大学のなかだけで営まれているものではありません。研究者の個人発信、市民が集う学校、独立書店の棚、深夜のポッドキャスト——人文知は、いま、さまざまな場所で生まれ、交わされています。
このページは、ジブンジンブン以外の場所で人文学に出会いたい方への、ささやかな案内所です。編集部が「これは確かに」と思える活動を、ジブンジンブンの視点を添えて少しずつ紹介していきます。
学術系クラウドファンディング/パトロネッジ
研究者の研究資金や活動を支える支援プラットフォーム
研究者が自身の研究計画を発信し、共感した支援者から資金を得るプラットフォーム。一般的なスポット支援型に加え、特定の研究者を継続的に応援する月額支援型のプロジェクトも掲載されています。学術系に特化したサービスとして、自然科学から人文学まで幅広い分野を扱ってきました。
研究を「外から応援する」体験は、研究者と社会の距離を変える大事な試みだと感じています。月額支援型を覗くと、ある研究者の関心や進捗を継続的に追いかけられる。本を一冊読むのとは別の角度から、人文学に関わる入口になるかもしれません。
独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する基金で、1990年に設立されました。政府出資金と民間からの寄付金を原資とし、その運用益で助成を行います。対象は国内での芸術の創造・普及活動、国内の映画祭、地域の文化振興活動です。サイトには寄附の案内と賛助会員制度が置かれています。
文化への公的な支援は、名前は知っていても中身が見えにくい領域だと思います。芸術文化振興基金は政府出資金と民間寄付金の両方を原資にしていて、個人からの寄附や賛助会員という形で、誰でも原資の側に回れます。助成の対象は音楽や演劇、美術から地域の文化振興まで広く公開されています。仕組みを知るところから始めてもよいのではないでしょうか。
科学技術振興機構(JST)が主催し、2006年に始まった年次イベントです。あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場という位置づけを掲げ、2025年で20回目を迎えました。同年は130を超える出展プログラムが並んでいます。入場は無料です。
科学のイベントというと理系向けに見えますが、サイエンスアゴラが掲げているのは科学と社会をつなぐ広場という位置づけです。2025年は130を超える出展プログラムが並び、来場者は展示を見るだけでなく対話に加われる構成になっています。科学技術と人文学の距離を考える入口としても機能するかもしれません。入場無料なので、日程が合えば覗いてみてください。
1988年6月に財団法人文化財保護振興財団として設立され、2004年4月に芸術研究振興財団を吸収して現在の名称になり、2010年4月に公益財団法人へ移行しました。文化財保存修復助成と芸術研究等助成を柱とし、敦煌莫高窟やアンコールワット遺跡群の保存修復など国際協力も行っています。
文化財の修復は、費用も時間もかかる割に、終わってからでないと外からは見えにくい仕事だと思います。この財団は保存修復への助成と芸術研究への助成を両輪にしていて、賛助会員やカレンダー募金という形で個人も原資を支えられます。文化財を守られているものではなく、誰かが支えているものとして見直す機会になるのではないでしょうか。
市民向け人文学スクール・講座
誰でも参加できる人文学の学校・講座
大学教員と大学院生を中心とした人文学の専門家と、哲学・文学・歴史学などを学びたい市民をつなぐコミュニティ。誰にでも開かれた人文学の学校「KUNILABO(くにらぼ)」を運営しており、本格的な人文学講座のほか、自由に議論する「じんぶんカフェ」も開かれています。
「人文学を学びたいが、大学に戻るのは難しい」という人に、まず勧めたい場所です。講師陣は現役の研究者ばかり。一人で本を読むだけでは届かない、学びの密度や対話の楽しさがここにあります。じんぶんカフェのような場が継続している貴重さも含めて、ぜひ覗いてみてください。
合同会社シラスが2020年10月に正式オープンした、会員制の有料放送プラットフォームです。株式会社ゲンロンのグループ企業として立ち上がり、ゲンロン完全中継チャンネルをはじめ、思想・批評・文学などのチャンネルが開設されています。広告収入に依存せず、配信者・視聴者・運営で費用を分け合うモデルを掲げており、2021年にCX AWARDを受賞しました。公式には「観客と配信者がともに育つ新しい放送プラットフォーム」と説明されています。
人文学の議論が、短く切り取られないまま配信される場は多くありません。ここでは数時間におよぶ対談が中継としてそのまま残るので、結論だけでなく、考えが動いていく過程に立ち会えます。すべてを有料にすることで、広告に合わせて内容を整える必要をなくしている。この設計そのものが、人文知を扱うメディアのひとつの答えになっていると感じます。
朝日新聞社系の株式会社朝日カルチャーセンターが運営する生涯学習講座です。1964年に名古屋で活動を開始し、1974年に現在の名称になり、2009年に一社化しました。新宿・立川・横浜・千葉・名古屋・京都・中之島・くずは・川西・福岡・北九州の教室と通信講座を展開し、歴史、哲学・思想・宗教、文学、科学、芸術など幅広いジャンルの講座を開いています。教室受講とオンライン受講のハイブリッド開催も行われています。
人文学を学び直したいと思ったとき、いきなり長期のコースに申し込むのは負担が大きいのではないでしょうか。朝日カルチャーセンターは1回完結の単発講座を多く揃えていて、研究者本人が登壇する回も少なくありません。まず気になる1テーマだけを試して、合えば同じ講師の別講座へ進む、という関わり方ができます。オンライン受講も選べるので、近くに教室がない方も含めて、ぜひ覗いてみてください。
2009年に東京・池尻で始まった民間の学びの場で、運営は株式会社スクーリング・パッドです。1つのテーマを全5回で学ぶスタイルをとり、キュレーターが講義そのものを企画する仕組みになっています。「大きく学び、自由に生きる」を掲げ、約200種類のオリジナル講義を企画してきました。人文系では「今を生きるための哲学」「過去に向き合うための哲学」「自分の言葉で考える利他学」などが開講されています。
哲学を学びたいと思っても、入門書を積み上げたところで止まってしまうことは少なくないように思います。自由大学は1テーマを全5回という短い単位で区切り、大学の科目名とは違う切り口から講義を組み立てています。「今を生きるための哲学」のように問いの側から入れるので、本を一冊選ぶのに迷っている段階の人にこそ働く場かもしれません。
2014年6月に設立されたNPO法人で、代表理事は角田將太郎さん。正解のない問いについてグループで考える哲学対話を社会で実践するためのスキルとプログラムを提供しています。こども哲学ファシリテーター養成講座、ファシリテーター派遣、ビジネス哲学対話研修、こども哲学教室、哲学カフェ実践者交流会などを運営し、2026年4月からは東京大学UTCPの協力を得た中高生世代向けプログラム「てつがくの学校」が始まっています。
哲学対話は、やってみたいと思っても場の進め方を自分で組み立てるのが難しいところで止まりがちだと感じています。アーダコーダはファシリテーター養成講座や実践者交流会を軸に、対話の運び方そのものを学べる形をとってきました。参加者として体験するだけでなく、自分の職場や地域で開く側に回るところまでつながっている点が、この団体の特徴ではないでしょうか。関心があれば、ぜひ覗いてみてください。
東京大学 大学総合教育研究センターが運営する、大規模公開オンライン講座(MOOC)の窓口サイトです。東京大学は2013年からMOOCによるオンライン講座の配信を開始しており、講座は Coursera と edX の両プラットフォームで配信されています。受講は無料で、修了証の発行のみ有料です。
大学の講義を受け直したいと思っても、費用と時間の見通しが立たずに諦めてしまう人は多いように思います。UTokyo MOOC は講義そのものを無償で公開し、修了証だけを有料にする形をとっているので、まず聴いてみて、続きそうなら証明を取るという順番で関われます。自分の関心が本当に持続するかを試す入口として機能してくれるのではないでしょうか。
1946年3月に故・末川博名誉総長のもとで始まった、立命館大学の無料公開講座です。大学の講義を市民に広く開放し、大学と地域社会との結びつきを強めることを目的に掲げています。原則として毎月2回の土曜午前に開催され、会場は衣笠キャンパスの末川記念会館、あわせてZoomウェビナーでも配信されます。見逃し配信も提供され、参加費は無料、事前申込制です。
大学の公開講座は有料で予約も必要なものが多く、一度きりの興味では手を出しにくいと感じている人もいるかもしれません。立命館土曜講座は1946年から無料での開講を続けていて、会場受講とオンライン受講のどちらも選べ、見逃し配信まで用意されています。関心のある回だけを拾って聴けるので、人文学に触れる機会をとりあえず一度持ってみたい方に向いています。ぜひ覗いてみてください。
人文系の学生・若手ジャーナル
学生や若手研究者が運営・寄稿する研究誌
表象文化論学会が2006年の設立以来発行しているニューズレターです。巻頭言、大会報告、シンポジウムやイベントの報告、研究ノート、毎号10冊以上の新刊紹介で構成されています。学会は自らの姿勢を「批評理論に立脚した学術的アプローチ」と説明しています。査読誌『表象』は別建てで、『REPRE』は全号がウェブ上で無料公開されています。
表象文化論のような分野は、いま誰が何を論じているのかを外から把握しにくいところがあると感じています。『REPRE』は大会やシンポジウムの報告と新刊紹介を毎号積み重ねる作りになっていて、学会の中で何が論じられたかが記録として残ります。論文そのものを読む前に、分野の輪郭と最近の関心をつかむ入口として使えるのではないでしょうか。
立教大学史学会が1928年から刊行している歴史学の学術誌で、現在は年2回発行されています。論文のほか書評や研究ノートを掲載しています。バックナンバーは立教大学学術リポジトリで本文PDFが公開されており、1967年の号と2017年の号で実際にダウンロードできることを確認しました。
大学の紀要は、名前を聞いたことがあっても実際に手に取る機会が少ない媒体ではないでしょうか。『史苑』は1928年から続く歴史学の雑誌で、バックナンバーがリポジトリで無料公開されています。関心のあるテーマや時代で検索すれば、専門の研究がどんな問いの立て方をしているのかを、本を買わずに確かめられると思います。
研究者個人のnote/ブログ/Substack
研究者個人が継続的に発信しているメディア
2018年からYouTubeで哲学の解説を続けている「ネオ高等遊民」さんによるnoteです。哲学科の大学院で修士号を取得し、企業勤務を経て発信を始めた方で、プラトン『国家』やマッキンタイア『美徳なき時代』といった原典の要約を有料マガジンとして公開しています。オンラインの読書会も主宰しており、2024年には『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』(SBクリエイティブ)を刊行しています。
哲学書は、読み始める前に「どれから読むか」で止まってしまうことが多いように思います。ここには原典そのものの要約が一冊ずつ積み上げられていて、読む前の見取り図としても、読んだあとの確認としても使えます。大学に所属しないまま発信を続けてきた蓄積そのものが、独学で人文学に取り組む人にとってひとつの参照点になるのではないでしょうか。
作品メモランダム
山本貴光による人文書と本づくりの記録ブログ文筆家・ゲーム作家の山本貴光さんが続けているブログです。1994年から2004年までコーエーでゲーム制作に従事し、2004年以降フリーランスで執筆を行っています。哲学書や古典、学術全集の刊行情報、文学賞・コンテストの告知、自身の連載や学術プロジェクトに関する記録が中心で、YouTubeチャンネル「哲学の劇場」の運営も併記されています。
人文書の刊行情報は出版社ごとに散らばっていて、いま何が出ているのかを見渡すのは案外難しいものです。このブログでは文筆家・ゲーム作家の山本貴光さんが、全集や文庫の刊行、翻訳の進行、自身の連載や講義の記録を長く書き留めています。一本ごとは短いメモですが、積み重なることで人文書の周辺で何が動いているかを掴む地図のように働くと思います。
人文系Podcast・YouTube
音声/映像で人文学を伝えるコンテンツ
株式会社COTENが配信する歴史Podcast。古今東西の人物や出来事を取り上げ、現代を生きる私たちの視点と接続する語りで知られています。月額サポート制度「COTEN CREW」も運営しており、人文知をめぐる新しいパトロネッジの形としても注目されています。
「歴史エンタメ」の枠を越えて、「なぜ人文知が必要なのか」という問いを社会に投げ続けてきた点に、ジブンジンブンとしても深く共感します。番組そのものはもちろんですが、人文知を社会に開く事業のあり方そのものが、いまの時代へのひとつの応答になっていると感じます。
ゆる言語学ラジオ
言語学を中心に学問を「ゆるく」楽しむ水野太貴さんと堀元見さんが2021年から配信しているPodcast/YouTube番組。学術書や研究論文を下敷きに、言語をめぐる話題を「ゆるく楽しく」語る形式で展開され、2026年にはJAPAN PODCAST AWARDS大賞を受賞しました。姉妹番組「ゆるコンピュータ科学ラジオ」など関連シリーズも展開しています。
編集部でも作業中に流していると、つい本編に引き込まれて手が止まってしまう、そんな番組です。学術的なテーマを正確に伝えるための綿密な準備と、それを「ゆるく楽しい雑談」として届ける構成力が両立している点に、毎回唸らされます。「ゆるコンピュータ科学ラジオ」など姉妹シリーズと合わせて、人文学にとどまらない学問の面白さに出会える入り口になると思います。
2023年に始まった哲学のPodcastです。元弁護士で株式会社COTENの歴史調査チームにも参加している「しながわ」さんと、Aqua Timezでドラムを担当していた「タッシー」さんの二人が、哲学者や学派をシリーズ形式で追いかけて解説しています。週1回のペースで配信が続いており、YouTubeでも同じ内容を公開しています。番組の説明では「なぜか哲学について楽しくわちゃわちゃ学んでいく番組」と紹介されています。
哲学の入門は、わかりやすさを優先するほど、もとの議論の面白さが削れてしまうことがあります。この番組は一人の哲学者に何回もかけて付き合う構成なので、要約された結論だけでなく、そこに至る道筋のほうに時間を使えます。気になる名前のシリーズから聞き始められるのも、独学の入口として使いやすいところだと思います。
2006年に始まったTBSラジオの深夜番組です。偶数月の第4日曜深夜に一つのテーマを立て、社会学者・批評家・編集者らが2時間半にわたり議論する構成をとっています。メインパーソナリティは社会学者の鈴木謙介さん。番組公式のPodcastで本編と派生コーナーが配信されており、「働き者ラジオ」などの定期配信もあります。
社会や文化についての議論は、SNS上では短い断片として流れていき、腰を据えて考える形になりにくいところがあると感じています。この番組は偶数月の日曜深夜に一つのテーマを立て、社会学者や批評家が2時間半をかけて話し続ける構成をとっています。2006年から続いているため、同じ論者が同じ問題をどう言い直してきたかを、時間の幅ごと追いかけられるのではないでしょうか。
独立系書店・ブックイベント
人文書を扱う独立書店、関連イベント
本屋B&B
トークイベントを多数開催する下北沢の独立書店2012年に東京・下北沢で開業した、ブック・コーディネーター内沼晋太郎さんらが共同経営する新刊書店。店名は「BOOKS&BEER」の略で、ビールを片手に本を選べる空間と、ほぼ毎日開催されるトークイベントが大きな特徴です。テーマ別に本を編む「文脈棚」という独自のセレクションも続けています。
私たちジブンジンブンも一度こちらでイベントを開かせていただいたことがあり、本を売るだけでなく「人が集まる場としての本屋」を体現している姿に、毎回背筋が伸びる思いがしました。トークイベントを日々の営みとして運営し続けてきた蓄積は、人文書を社会に届ける活動のひとつの形として、私たちにも多くの示唆をくれます。下北沢に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
Title (荻窪)
人文書に強い荻窪の独立書店2016年に東京・荻窪に開業した新刊書店。リブロ池袋本店マネージャーを経て独立した辻山良雄さんが店主を務め、1階が書店とカフェ、2階がギャラリーという構成です。「人がよりよく生きていくこと」としての生活に寄り添う選書を軸に、毎日更新される「毎日のほん」をはじめ、店主自身の言葉で本を手渡す姿勢が貫かれています。
店主・辻山さんの『本屋、はじめました』『小さな声、光る棚』といった著作からも伝わる通り、書き手としての言葉を持つ店主が選び抜いた本に出会える場所です。併設カフェの落ち着いた雰囲気も含めて、「本との時間そのもの」を味わえる空間だと感じます。荻窪駅から少し歩く立地ですが、その距離感もTitleならではの体験のひとつになっています。
2003年5月にオンライン古書店として始まり、2013年4月に実店舗を開業、2015年10月に現在の赤坂へ移転した書店です。作家や研究者による選書専門店を称し、約30名の選書者による棚で構成されています。店主は竹田信弥さん。新刊・古書・オリジナルグッズを扱い、読書会や作家との交流会を継続して開催し、文芸誌『しししし』の発行も行っています。
本を選ぶとき、書店の棚が誰の判断で組まれているのかは、ふだん見えにくいものだと感じています。双子のライオン堂は作家や研究者が選書した棚を軸に構成されていて、誰がなぜその一冊を選んだのかが、はじめから開かれています。読書会や文芸誌の発行も続いており、本を読むことと語ることが地続きになった場所です。赤坂に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
2015年11月に開業。恵文社一乗寺店の元店長・堀部篤史さんが独立して立ち上げました。本屋の新しいあり方を提案すべく始めたささやかな実験と自ら説明し、出版社からの直接仕入れによる利幅確保、店主自身が選書も店番も取引先対応も行う最小規模の運営を方針に挙げています。店内ギャラリーでの展示やトークイベント、自社刊行書籍もあります。
本屋に入っても、何を手に取ればいいか決まらないまま出てきてしまうことがあるのではないでしょうか。誠光社は店主がひとりで選書と店番と仕入れを担う小さな店で、棚の総量が絞られているぶん、一冊ずつの意図が伝わりやすくなっています。出版社から直接仕入れる方式を選んだ理由も公開されており、本が届くまでの仕組みごと考えたい人には特に響くと思います。京都を訪れる際には、ぜひ覗いてみてください。
2006年開業。地下鉄東山線・東山公園駅近くのビル2階にあります。感じる、考える人のための本屋を掲げ、世界をみる目の解像度を高めて多様な価値観を教えてくれる本を、新刊・古本を問わずセレクトすると説明しています。ギャラリーを併設して展示を行い、自主出版レーベル「ELVIS PRESS」も運営しています。
本屋に行く目的が「探している本を買う」だけになると、棚の面白さは案外通り過ぎてしまうように思います。ON READINGは新刊と古書を横断して選書し、ギャラリーを併設して展示も行っている店で、本以外の入口からも棚に近づけるようになっています。自主レーベルELVIS PRESSでの出版も続いており、つくる側と売る側の両方から本を見ている場所です。名古屋に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
2014年開業。広島市中区の古ビル二階にある、小さなギャラリー併設の、器も扱う個人書店と自ら説明しています。BOOKS・TABLEWARE・GOODSの3本柱で、展示やイベントも継続的に開催しています。
地方に住んでいると、少部数の本や小さな出版社の本に出会う機会は限られてしまうことがあります。READAN DEATは広島市中区のビル二階にある個人経営の書店で、リトルプレスを軸に選書し、器の販売とギャラリーを併せ持っています。売れ筋を追わない方針を店主が明言しており、目当てを決めずに行っても何かに当たる棚になっていると思います。広島に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
恵文社一乗寺店
書店・生活館・ギャラリーを併せ持つ、京都一乗寺の老舗京都市左京区一乗寺にある書店です。本にまつわるあれこれのお店と自ら呼び、書店本体に加えて衣食住まわりの書籍と雑貨を扱う「生活館」、ギャラリー「アンフェール」、イベントスペース「コテージ」を併設しています。年中無休(元日を除く)で、京都の独立系書店の先駆けとして知られています。
読みたい分野が決まっていないとき、大きな書店の分類は逆に手がかりになりにくいことがあると感じています。恵文社一乗寺店は書店に加えて生活雑貨の「生活館」やギャラリー、イベントスペースを併設していて、本と本以外が同じ導線に並ぶ構成になっています。分野で探すのではなく、置かれ方から関心が動いていく体験ができる場所ではないでしょうか。京都の北側まで足を延ばす際には、ぜひ覗いてみてください。
2001年に福岡で始まった独立系書店です。けやき通り店と箱崎店の2店舗があり、箱崎店にはカフェ&ギャラリーとベーカリーを併設しています。店主の大井実さんは『ローカルブックストアである』(晶文社)の著者で、書店を街の居場所として位置づける考え方を書籍でも公にしています。
街の書店が減っていくなかで、小さな店が続いていること自体に意味があると編集部では考えています。ブックスキューブリックは2001年に福岡で始まった独立系書店で、けやき通り店と箱崎店の二店舗を構え、箱崎店ではカフェとギャラリーも併営しています。本を買う用事がなくても立ち寄れる作りになっており、地域の場としての書店を考える手がかりになると思います。福岡に立ち寄る際には、ぜひ覗いてみてください。
人文学系の研究会・読書会コミュニティ
読書会や勉強会など継続する知的コミュニティ
2015年10月に発足した、哲学対話の実践者をつなぐネットワークです(英文名称 Japanese Association for Philosophical Practice)。哲学カフェ、こどもの哲学、地域や職場での哲学対話、哲学コンサルティングなど、さまざまな現場で実践している人が集まります。年に一度の大会開催と、機関誌『みんなで考えよう』の発行を続けています。
哲学対話は、やってみたいと思っても、どこでどう始めればいいのかが見えにくい活動です。この連絡会には、学校や地域や職場でそれぞれに場を開いている人たちが、実践の報告を持ち寄っています。理論としての哲学ではなく、場を運営する側の知見が蓄積されている点が、他にあまりない特徴だと思います。自分でも対話の場を開いてみたい方は、まず年次の大会を覗いてみてください。
呂律 / a mode distinction
社会学の読書会と読書メモが積み上がるブログ社会学者ニクラス・ルーマンの理論とエスノメソドロジーを扱うサイト socio-logic.jp の別館として運営されているブログです。運営者の酒井泰斗さんが主宰・関与する読書会、草稿検討会、合評会の記録と、日々の文献メモが蓄積されています。ルーマン、エスノメソドロジー、教育社会学、政治理論など扱う範囲は広く、記事は長年にわたって続いています。
社会理論の本は、一人で読み進めても議論の文脈が掴めないまま止まってしまうことがあるように思います。このブログには読書会や草稿検討会の記録、文献のメモが長く蓄積されていて、一冊の本がどんな順序で読まれ、どこが論点になったかが残されています。専門外の読者にとっては、独学の道筋を他人の記録から借りられる場所として働くかもしれません。
2006年9月に名古屋で始まった読書会コミュニティで、主宰は山本多津也さん。月に一度、同じ本を読んだ人どうしが世代を越えて集い、違いを違いのまま持ち寄って対話すると説明されています。ビジネス書中心の「アウトプット勉強会」、文学系の「文学サロン月曜会」、映画を扱う「シネマテーブル」などの分科会があり、東京・名古屋・大阪などのオフライン開催とオンライン開催を並行しています。
読書会は、発言できるか分からないという不安で最初の一歩が重くなりやすい場だと感じています。猫町倶楽部は課題本を読み切って参加するという一点だけを共通の条件にしていて、それ以外の肩書きや前提知識を持ち込ませない設計になっています。複数都市とオンラインで毎月開かれているので、近い場所や形式から選べます。ぜひ覗いてみてください。
奈良県吉野郡東吉野村にある私設図書館で、2016年の開館以来、青木真兵さん・海青子さん夫妻が自宅を開いて運営しています。歴史・文学・思想・サブカルチャーの蔵書を中心に据え、図書館やパブリック・スペース、研究センターを内包する人文知の拠点と説明されています。開館は11時から17時で、開館日は月ごとに定められています。
人文書にまとまって触れられる場所は都市に偏っていて、地方に住むほど選択肢が狭まるという事情があると感じています。ルチャ・リブロは奈良県東吉野村の自宅を開いた私設図書館で、2016年の開館以来、歴史や文学、思想の蔵書を軸に運営されています。開館日が月ごとに決められているため訪ねる側にも予定を立てる時間が要りますが、その距離込みで本と向き合う場になっているのではないでしょうか。関西方面に行かれる機会があれば、開館日を確認のうえ覗いてみてください。

