このインタビューは全3回シリーズ
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ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査が行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

第五十八回となる今回のインタビューでは、東京大学大学院で比較教育社会学を専攻し、大学生の在学中の活動と就職活動での自己提示の乖離を、質問紙調査による量的アプローチとインタビューを組み合わせて研究されている山口ゆり乃さんにお話を伺います。「学チカ(学生時代に力を入れたこと)」をキーワードに、採用選抜のあり方が大学教育に与える影響、そしてAI時代の選抜の行方を見つめる研究者です。

『学チカ』を量で捉える

——拒否反応が出る方も多いように思います、自分の「普通」が揺さぶられる時には。

衝撃でしたが、メンバーとはいつもすぐ集まって深い話をするのを楽しんでいました。私がすごく共感してしまっている時も、「いや、自分は違うと思った」と言ってくれる同期もいましたし。ちゃんとクリティカルに考えている人たちがいたので、私がこっちに行きすぎたのをもう1回戻してもらったり。

——先ほどは「法学のゼミ、合わないかも」とおっしゃっていたのに結局弁護士の先生のゼミに所属することになったのが少し不思議でしたが(笑)、よい対話の環境があったというのは幸運なことですね。

川人ゼミに誘われたのは大学に入学したころなので、むしろ法学への興味がきっかけでしたね。法学部への興味もあったし、先輩に誘われ、「教育パート」という教育をできること、現場で学べることに惹かれて入り、法学部に進学しないとなった時にはすでにメンバーと仲良くなっていたのでやめるという選択肢は全くなかったですね。

——学部4年の時点で、すでに修士進学を決めていらしたのですか?

3年生の調査実習でTAをやっていた先輩が博士課程の先輩で、いろいろ話す機会がありました。情報を集める中で「思ったより博士って地獄ではないんだな、文系の研究者って地獄ではないんだな」と実感し、「ならもう少し研究できた方が楽しそうだな」と。就活もしていたのですが、「あなたのやりたいことは何ですか」という質問に研究以外だんだん言えなくなってきたので、「やめよう」と。

大学教員は自分の専門を教えながら、かつ自分の研究もできるのがいいなと思っていたので、やりたいこともできるし、生きていけるなら、行ってみてもいいだろうと。

——お金の心配はありませんでしたか?

幸いにも、修士は家族に全面バックアップしてもらっていました。国立大学ですし、2年ほどならいいでしょう、と。子供の意思優先で、基本的には何でも応援してくれるタイプの両親なので、ちゃんとやりたいことがあるならと支援してくれました。

——そうして修士課程で引き続き研究に取り組まれるわけですが、卒論と修論はどのように繋がっているのですか?

大学院入試の研究計画書の時点で、「卒論ではインプットをやって、修士では出口・アウトプットをやりたい」というのはありました。卒論のテーマは、大学進学理由と学習熱心度の変化です。私は意気込んで東大に入って授業を取るぞというところでしたが、意外と大学生はみんな楽単や、いかに授業を切るかという話をするじゃないですか。もちろんそれも分からなくはないのですが、受験を頑張って入ったのに大学での学びをどんどん切っていくのが悲しいなと思っていて、まずは入ってくる人たちのモチベーションを見ようというのが卒論の題材でした。

修士課程では、新たに計量系の2次分析に取り組みました。他の人がやった社会調査が公開されているデータアーカイブがあって、過去の大学生調査の結果借りて使うことができるんです。そのデータを活用して、学習行動やバイト、それ以外の活動も含めて、大学生の行動パターンがどう変化するのかを分析しました。学生たちが在学中に何をしていたかについて取り組んだのが修士1年ぐらい。卒論で入り口の話と中の話はするから、ではそれが出口でどうなっているのかをやりたい、というもともとの構想はありました。だったら修士では、出口にあたる就活を取り上げようかなと考え始めていた、というところですね。