このインタビューは全3回シリーズ
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ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査が行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

第五十八回となる今回のインタビューでは、東京大学大学院で比較教育社会学を専攻し、大学生の在学中の活動と就職活動での自己提示の乖離を、質問紙調査による量的アプローチとインタビューを組み合わせて研究されている山口ゆり乃さんにお話を伺います。「学チカ(学生時代に力を入れたこと)」をキーワードに、採用選抜のあり方が大学教育に与える影響、そしてAI時代の選抜の行方を見つめる研究者です。

歴史好きから教育社会学へ

——本日はよろしくお願いします。山口さんの研究のことを伺う前に、子どもの頃のことからお聞かせください。小中学生の頃から、研究や探究のようなことは好きなタイプでしたか?

いえ、どちらかというと苦手でした。理科の自由研究のような、いわゆる研究や探究の類の活動や、作文も苦手でした。そもそも、研究者という職業も知らなかったですしね。

——作文、今となっては仕事の大部分ですからね(笑)。

そうなんですよ(笑)。ただ、学校の勉強は大好きで。今思えば、本当に義務教育に染め上げられているような子供でしたね。

——教育のご専門にいらっしゃるからか、ご自分のことを批判的に見ていらっしゃるのが少し面白いですね(笑)。

地方公立の小・中学校に通っていて、いわゆる「お利口な生徒」でしたね。学校の宿題は30分ほどで終わらせてしまって、習い事のピアノを2時間ほど練習する、という生活をしていました。

——そんな中、歴史が好きになったとのことですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

日本史、とくに戦国時代が好きでした。私の出身地は、徳川家康ゆかりの地域です。家に歴史漫画が置いてあって。卑弥呼なども大好きでしたよ。「なんでも占いできてすごいな」と(笑)。ファンタジーが好きなので。あと、祖母の家にも「世界の偉人200人」のようなまとまったシリーズがありました。ヘレン・ケラー、ガリレオ、手塚治虫、ライト兄弟の話なども覚えています。

——文系を選ぶと「将来、仕事はどうするの問題」を早いうちから親や先生と話すことになる方も多いですが、山口さんの場合はいかがでしたか。

何もなかったですね。両親ともに文系出身だったかもしれません。母からは「薬剤師などの資格を取っておくと、役に立つかもよ」と言われたことはありましたかね。ただ、自分が薬品を扱っているイメージがあまりなかったので、「いや、別にいいかな」と思ったのは覚えています。

——文理選択はどのようにされましたか?

中学の時から、実力テストや校外の模試になると理科で点数が安定しない時がありました。高校に入って理科が化学や物理に分かれるじゃないですか。分かれて初めて、私は理科の中で物理が苦手だったということに気づきました。生物は大好きなのですが。

あと、カタカナが苦手で、歴史だと日本史は良くて世界史は少し苦手というところもありました。文理選択は得意苦手というよりはやりたいことベース・学びたいことベースで、歴史に興味を持っていたので、文系をやりたいから別に理系に行かなくてもいいよね、というところで文系を選びました。

——教育に興味を持ちはじめたのは、いつ頃でしたか?

高校がちょうど私の代から、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受けました。2年生の時はグループで、ある課題についてディベート形式で、最後にポスター発表をしようという話で。3年生の時の個人探究で「身近な社会課題を取り上げてください」というように好きなテーマにできたのですが、高校生で家と学校の往復ばかりだったので、社会課題とは何だろうという状態になってしまって。他の同級生は紛争地域の話や貧困の話などをやっているのですが、私からすると少し距離がありました。

ただ、その時に大学入試改革の話が話題になっていて、少し身近だったので調べたら結構面白かった。一方で、当時そんなにリサーチ能力もないので、自分の気持ちを書き連ねた部分が多くなってしまって、不完全燃焼感がすごくありました。

——悔しいなと思うぐらいには、そのテーマを掘り下げることに思い入れがあった、ということですよね。

選抜というテーマは今の研究と結局絡んでいるのですが、何で人を評価するのかとか、入試によって高校生活・学校の勉強も変わってくるとか、その辺の関係に関心を持っていたのは確かにあった気がします。