ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査が行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

第四十八回となる今回のインタビューでは、考古学史や社会運動史の視点から知の変遷を辿り、現在は東京大学150年史の編纂に携わる、鈴木健吾さんにお話を伺います。

原体験としての考古学――「作る」から「書く」への転向

——本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。鈴木さんのご活動は、論文や学会発表、あるいはWeb上の記事などを拝見しても非常に多岐にわたっていますね。考古学史、社会運動史、文化財行政、さらには政治思想史まで。まずは読者に向けて、ご自身の専門分野をどう定義されているのか、そこからうかがわせてください。

よろしくお願いします。そうですね、確かに「何をしている人なのか」と聞かれると、相手によって答え方を変えています(笑)。

自分が関心を持っている核心部分を一言で表すなら、「メタ・ヒストリー」、あるいはもっと広く「知識の歴史」や「思想史」ということになるかと思います。対象とする時代や場所で言えば、「戦後日本」や「近代日本」がメインです。

ただ、これだと少し抽象的すぎて伝わりにくい場合もあるので、具体的な手法や対象を聞かれた際には、社会運動史であったり、行政寄りの文脈であれば文化財という言葉を使ったりもします。これら3つくらいの要素を、状況に応じて組み合わせて自己紹介している感じですね。

——なるほど。「メタ・ヒストリー」というのは、「歴史そのもの」ではなく、「歴史がどう語られてきたか」という歴史、ということでしょうか。もし中学生や高校生に向けて、「私はこういう謎を解き明かしたいんだ」と伝えるとしたら、どう表現されますか?

少し格好つけた言い方になりますが、「考古学と政治学」の交差点に興味がある、と言うでしょうね。

特に私は、考古学史という分野を挙げることが多いんです。これは私が作った新しい言葉ではなく、以前から存在する分野なのですが、これまでは少し特殊な位置づけにありました。

率直に言えば、大学を退官された名誉教授や、埋蔵文化財センターを定年退職されたベテラン職員の方々が、余生において「学者列伝」を書く——つまり、恩師や先人の業績を顕彰するための、いわば「伝記」のようなジャンルとして扱われることが多かったのです。

——「〇〇先生のご生涯」といった、偉人伝のような側面が強かったわけですね。

ええ。もちろん、そうした記録も重要ですし、私自身も楽しく読みます。ですが、私がやりたいのは顕彰ではありません。

考古学という学問が、それぞれの時代の政治や社会とどう関わり、学説がどのように変遷してきたのか。あるいは、考古学者という存在が社会の中でどういう役割を演じてきたのか。そうした、学問そのものを対象とした歴史を描きたいと考えています。