木曜日, 11月 21, 2024

会社名  :株式会社ジブンジンブン

設立   :2024年4月1日

ホーム一冊より二冊島を知るために

島を知るために

はじめに

そもそも島とはなんでしょうか? 島国日本(の本土)に住む人々は、自分たちの足元が島であることをあまり意識しません。ここでは島に関する専門書と小説を1冊ずつ取り上げます。1冊目が島々を外側から観察する本とすれば、2冊目は島の内側の視点をもたらしてくれる本と言えるでしょう。どちらも、(本土の)日本人にとっては身近にありながら遠く感じる島々を、より現実的に感じられる著作となっています。

『島の地理学―小さな島々の島嶼性』

著:Stephen A. Royle
法政大学出版局

世界の島々は多種多様な特徴を持ちながら、同時にお互いによく似通っています。例えば日本をはじめ世界中いたるところで、島は本土からの流刑地として利用されてきました。世界の多くの小さな島々にみられる現象に目を向けて、生物学から政治・経済に至る多様な観点から「島らしさとは何か」という問いに切り込んでいく一冊です。

『マシアス・ギリの失脚』

著:池澤夏樹
新潮文庫

太平洋に浮かぶ小さな島国、ナビダード共和国を舞台にして描かれる1人の大統領の一代記。まことしやかにつづられる島民たちの不可思議な噂話と、日本やアメリカなどの先進国の利害に振り回されながらもしたたかに生きる小さな島嶼国の現実とが重なり合い、島の濃密な空気が肌に伝わってくる作品です。

まとめ

ふだん大陸・本土の視点からは忘れられがちな島という存在。しかし小さな島々にも豊かな自然があり、それと同じく豊かな人々の営みがあります。皆さんもこれらの著作を読んで、自分の身近にある島に目を向けたり足を運んだりしてみると、また新たな発見があるかもしれません。ひるがえって、わたしたちが暮らす日本列島の「島らしさ」――そんな側面を考えるのも面白いでしょう。

関連記事