研究内容

学問概要

言語学は、私たちが普段話したり書いたりしている、あるいは過去の人々が使っていた言語のあり方を扱う学問です。言語を扱うと一口に言っても、文を成り立たせる仕組みである文法をはじめ、ある言語の社会とのつながり、さらに赤ちゃんがどのように言葉を覚えるかなど、研究の観点は非常に幅広いです。東大には駒場と本郷それぞれに研究の拠点があり、本郷では日本語とその方言から世界の少数民族の言語まで、様々な言語の文法研究が特に盛んです。

基本的な書籍

*言語学がどんなものかを知る読み物として
黒田龍之助『はじめての言語学』講談社現代新書、2004
*言語学の基礎的な専門知識を学ぶために
斎藤純男『言語学入門』三省堂、2010
斎藤純男、田口善久、西村義樹(編)『明解言語学辞典』三省堂、2015

留学

海外留学は必須ではありません。学部生であれば、日本語や日本国内にも話者がある程度いる言語を研究テーマにすることが多いです。一方、大学院で研究を進める場合、自分の研究する言語が使用されている地域に留学する人が少なくありません。現地の研究機関で活動する留学という形でなくても、調査活動のために海外渡航する人は多いです。

時間割・授業

2年生から3年生にかけての言語学の分野や方法論を概説的に学ぶ授業の他に、必修はほとんどありません。それ以降は各先生の専門分野に沿って、言語学の各分野での研究手法や理論・考え方を学ぶ授業が中心になります。どの言語を扱うか、その言語の文法が実際にどうなっているかは基本的に各人の関心に従って調べることになりますが、中学・高校の英語のように、特定の言語の文法を学ぶ授業も開かれており、この授業をきっかけに研究テーマを決める学生も多いです。

卒論

ある程度は調査の実行難易度を考慮して指導教員からのアドバイスを受けることになりますが、卒論のテーマは各人の興味関心に従って決めることができます。どの言語を扱うかという点でも、どの分野でその言語を扱うかという点でもかなり自由にテーマを決められます。自分の地元で使用されている方言の調査や、第二外国語の文法研究が典型的な一方、少数民族の言語など珍しい言語をテーマとする人も一定数います。

高校までの繋がり

高校までの勉強との繋がり

高校の科目で直接言語学を学ぶことはありませんが、英語や古文・漢文はある言語の文法がどうなっているか学ぶという点で言語学的研究の初めの一歩と言えます。地理や世界史の知識も、特に言語の分布や歴史、社会的背景を探求する分野に大きく関わっています。さらに、数学やプログラミングも、研究手段の幅を広げる重要な知識になります。

受験で必要な科目

特になし。

進路

就職先・大学院進学

流通・航空・IT系ベンチャーなど、卒業生の就職する業界は様々です。院進する学部生は毎年数人程度ですが、外部からの進学者や留学生も毎年5, 6人程度います。

関連する資格

このコースで直接取得できる資格はありませんが、他学科・専修過程の授業を受けて教員免許や学芸員資格を取得する学生は一定数います。

学生の声

楽しいこと

普段何気なく使っている言葉の面白さに気付けるのが、言語学という分野共通の楽しみと言えます。さらに調査という観点では、現地調査を通じて国内外の様々な地域の文化や人々と触れ合って刺激を得られます。文献調査をメインとする場合でも調査の一環として様々な面白い文学作品や表現に出会えますし、楽しみ方は様々です。

できないとつらいこと

必ずしもネイティブと遜色無く話せる必要は無いものの、調査したい言語の基礎的な文法知識は原則必須と言えます。さらに、日本語および日本語方言をテーマとする場合でも、論文を読める程度の英語は身に着ける必要があるでしょう。さらに良い研究のためには、調査・分析のための機材やソフトの使い方、調査の作法などを授業を通じてしっかり習得することが重要です。

その他

学費・研究費用

卒論のための調査であれば、図書館の資料や無料で使えるインターネット上の資料などを活用してほとんど自己負担無しで行うことも可能です。フィールドワークも学部生では帰省のついでとして行う人がほとんどです。一方、院生として本格的な調査を行う場合、調査のための旅費や調査協力者への謝金などは研究資金の援助が無い限り自費で負担することになります。