研究内容

学問概要

比較文学とは、作品の背景や、複数の作品に共通する要素を読み解く学問です。比較の対象は、①国や言語の違い、②時代の違い、③異なるジャンル(文学、美術、音楽など)があります。そのためこの学問を理解するキーワードとしては「比較」ではなく「越境」とよく言われます。グローバルな現代社会において、異文化を理解するために必要な考え方といえるでしょう。

基本的な書籍

秋山正幸、榎本義子編著『比較文学の世界』南雲堂、2005
稲賀繁美編『異文化理解の倫理にむけて』名古屋大学出版会、2000
佐々木英明編『異文化への視線―新しい比較文学のために』名古屋大学出版会、1996

留学

教養学部が1年間の交換留学プログラムを設けていますが、このコースから留学する学生はあまりいません。
長期休暇の間に、研究対象にゆかりのある地域へ旅行・短期留学する人は時々います。研究室を通してアポイントを取れば、非公開の作品を見せてもらえたり、関連の教授にヒアリングできたりもします。

時間割・授業

授業のテーマは文学、美術、音楽、哲学など多岐にわたります。他コースの授業も受講でき、副専攻の卒業証明書ももらえます。多くは10人以下のゼミ形式で、大学院生と共同の授業もあります。院生に向けて発表するのは緊張しますが、鋭い指摘を受けると勉強になります。
他の学部と異なり、3・4年生も第二外国語が必修です。

卒論

テーマは近代以降の文学、美術が多いですが、音楽、漫画の研究論文もあります。4年生の夏にはテーマを決めて提出、10月頃に中間発表会があるため、自由に研究できるといっても意外と時間がありません。担当教官からマンツーマンで指導を受けることができます。口頭試問は担当教官・主査・副査の3人の教授と行います。

高校までの繋がり

高校までの勉強との繋がり

様々な時代・国の資料を読むため、英語・古文の知識を使います。土台として、現代文の長文読解は必要です。世界史・日本史で扱う有名な作家・作品を、さらに深堀りしていくため、ざっくりとした時代背景も覚えておくと役立ちます。受験科目ではないですが、美術や音楽の授業で鑑賞の目を養っておくのもよいでしょう。

受験で必要な科目

特になし。

進路

就職先・大学院進学

就職が3割、院進が7割程度です。就職先はマスコミやディベロッパー、コンサルタントなど様々です。研究内容が仕事に直結することは稀なため、就職活動は積極的に情報収集をしなければ苦戦しますが、調査・分析スキルが強みになります。院卒者はそのまま研究を続けるほか、学芸員や教師になる人もいます。

関連する資格

学芸員資格、図書館司書資格、教員免許など。取得に必要な授業は文学部で開講されていることも多いので、駒場キャンパスと本郷キャンパスを行き来することもあります。

学生の声

楽しいこと

「文化を研究するにはまずは楽しむこと」という教授が多く、多様な芸術・作品に触れることができるのが醍醐味です。もちろん研究成果として残すためには辛いこともありますが、教授もその辛さをよく理解してくれるのでサポートは手厚いです。半期ごとに懇親会があり、有志が楽器演奏や落語、詩の朗読などを披露しています。

できないとつらいこと

どの時代・ジャンル・作品を選んでもよいのでかえって収拾がつかず、2年間でまとめ切れない人も多い学科です。研究の軸を絞り、必要な資料・文献を取捨選択していく姿勢は欠かせません。また2つ以上のものを比較するには、それぞれについての知識を身につけなければならないので、忍耐強く文章を読みこむことも必要です。

その他

学費・研究費用

必要な書籍やコピー代は研究室が負担してくれることが多く、お金をかけずに研究しようと思えば可能です。美術作品などは実物を見ることが求められるので、そのための交通費は自己負担となります。大学院でさらに専門的な研究をしようとすると、数カ月の留学が必要になるかもしれません。

公式HP

こちら(外部サイトに遷移します)