Q4-2. さいごに、研究的なことをしていて、楽しいところはなんでしょうか?

興味のあることが次から次へと出てきてしまうことですかね。おかしなものが目につくと、考えてしまう癖がついています。今の仕事はとてもあっていると感じます。知識の幅を広げられるので、半ば強制的に研究的なことを続けられます。

まともな研究者だったら、自分の専門以外なんてやりたくないはずなんですが、私は自分の専門を捨てられたからこそではあります。いわゆる研究者を放り投げたからこそ手に入れられたものが大きいですね。中心にいるのに、周辺にいるような、素人のような、立ち位置の面白さが私にはあって、そうしたことを自分が楽しめていると思います。

一方で研究的な面白さもあって、研究的なことをやるにあたって必要な作業は好きです。ディシプリンにこだわっていないからこそ、その作業を楽しめています。研究的な態度で望むことが面白いですよね。

それは例えば蓄積していった先に全てがつながる瞬間が快感でもありますよね。それは展示会などを通じて違う分野をごちゃごちゃにやっていく中でも繋がっているし、発生します。

違う分野における結びつきが面白いなと思うのですが、時代性みたいなところはやはり結びつきが多いです。手当たり次第関心をもつことで、そのつながりを探しているようなところがあるかもしれません。なんだか分からないものを自分で推理してみる、あっていたときの快感があります。

例えばタワマンについて最近形が変わったなと思っていて、三角柱の物が多いですよね。風対策では?と思っていたら、営業さんに聞いてみたら合っていたことがありました。

こういった快感を得るためには、データを集めて、仮説を立てて、検証するということが必要です。研究をやっていたから、こういう遊びができるみたいなことはありますね。何をしていたってそういった素養があることは大事で、ディシプリンやテーマが違うだけだと私は思っています。

──本日はありがとうございました!

折茂先生には一般的な「研究」から彼なりの「研究」へとつながっていく道のりを教えていただきました。論文という形で成果を出して評価をされる大学的な研究だけに限らず、個人のブログや同人誌などで自分でまとめた内容を発表したり、自分だけのテーマを持ってただ取り組んだりすることまで含めて研究であると仰っていました。皆さんもぜひ自分だけの「研究」テーマを見つけていただければと思います。