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実践編:ミュシャ研究③

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実践編:ミュシャ研究③

ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

前回に引き続き今回もミュシャ研究を行っているMさんです。今回は研究の結果について伺います。

研究の結果

Q3-1. 美術史の研究手法についてよく分かりました。結論としてはどのようなことが分かったのでしょうか?

先ほど芸術に対して装飾が下に見られていた、という話をしましたね。しかし19世紀後半から20世紀前半にかけて、ポスターの立ち位置は向上しつつあったのです。その背景には、万国博覧会の開催が関わっていました。

イギリスが万国博覧会で出展したのが装飾芸術であり、これが高い評価を受けたことが装飾芸術のブランド力を高めるきっかけとなりました。そんな中、イギリスに対抗するフランスの装飾芸術の立役者としてミュシャが登場したというわけです。

ミュシャの作品は、ロココ芸術のような優美な画風とは対照的に、古典主義的な趣もありました。ミュシャはこのような歴史画の画風の継承者としても評価されていたのです。彼はアカデミーに所属していたので、歴史画的な画風もそこで習得したものと言うことができます。

ーー万国博覧会!大きな話につながってきましたね。

そうです。ミュシャというある時代を生きた一個人の作品にフォーカスをあてて、その時代の芸術政策の話になったり、列強のパワーバランスの話になったり、芸術とナショナリズムとの関わりなどにも繋がっていくのはまさに美術史学ならではで、とても面白かったところです。

ーー聞いていてもとても面白い内容でした。最後に、こんなこともできたらよかったのに、という後悔はありますか。

2つあります。1つは、工芸や文様、デザインなどの装飾芸術分野の資料読み込みが薄くなってしまったこと。美術史学で中心的に扱われることの多い油彩画やポスターに関してはもちろん読んだのですが、それらについてももっとよく調査できればより踏み込んだ観点で書けたのではと思っています。

もう1つは、画風の分析の手法ですね。画風の比較というとどうしても主観が入ってしまうのですけど、これをAIベースの判定で客観的に評価できないか?ということを考えていました。結局時間がなかったのでそこまではできなかったのですが…研究者の方で進めている方はおられるようです。

ーーAIと聞くと最新の研究という印象が出てきますね。美術史学にもまだまだ研究されていない領域や新たな手法が開拓されていることが分かりました。貴重なお話をありがとうございました。

ありがとうございました。

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