ーーそうすると、「独学」とはいいつつ、自分だけで頑張りすぎないよう、他の人の助けも借りてみたほうが、よりよい「独学」になりそうな気がしてきました。
日本史学は、独学者もあんがい独りではないですよ。基礎を大学で学んだうえで、独学で自分のテーマを探究しているアマチュアがとても多いです。他の分野と比べて、その裾野の広さには驚かれるかもしれません。
例えば、小中や高等学校の教員をしながら郷土史研究をしています、とか。郷土史家たちが地域に根差したニッチな研究を発表して、今度はそれが学会誌の論文に引用されたり、本になって評価されたりというケースもあります。歴史の学界では、大学の教員と区別なく、研究者として評価されています。本業のかたわらではありつつも、かれらも自分自身のことを「歴史家」と意識しているはずです。
他の分野、たとえば文学研究でも、地元の歌人・俳人と研究者とが集まって、新しい取り組みをしているという例も聞いたことがあります。大学の外の独学者たちには、既存の学問とは違う領域を作っていくぞ! という意識もあるのかもしれないですね。そして同時に、そういった新しい研究は、大学の中の研究と分断されることなく、地続きなものだと思っています。
ーー先生ご自身の実感も踏まえながらの貴重なお話、ありがとうございました!
こちらこそありがとうございました!