土曜日, 5月 11, 2024

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設立   :2024年4月1日

ホーム一冊より二冊快感に溺れる

快感に溺れる

はじめに

今日、「スマホ依存症・ゲーム依存症」と世の中を賑わせる依存症は、最近のものでは決してありません。古来から人は様々な形で快楽に溺れ「依存」してきました。酒ができたのも、薬によって痛みを消してきたのも、かれこれ千年以上前の話です。では「依存症」とはなんでしょうか。小説と学術書から切り込みます。

『今夜、すべてのバーで』

著:中島らも
講談社文庫

有名な小説家中島らもによる、アルコール依存によって入院した主人公、小島容をめぐる物語。丁寧に調べ上げられたであろうアルコール依存症に関する知識がふんだんに使われている理論的な側面と、依存症患者の内面に迫る小説ならではの感情表現とのバランスが取れた優れた作品です。

『快感回路』

著:デイヴィッド・J・リンデン
訳:岩坂彰
河出書房新社

薬物、アルコール、ギャンブルなど、どうして人は依存するのかを「快感回路(=報酬系)」を扱う生物学的観点から説明した本です。至るところに生物学的説明が登場しますが、大事なことは分かりやすくまとめられてるので安心して読み進められます。10年以上前の作品なので今の知見と異なるところがある点には注意。

まとめ

『今夜、すべてのバーで』『快感回路』はそれぞれ異なる方法で、依存症患者の内部に切り込みます。前者は主人公小島容の自意識に、後者は患者の脳内の生物学的現象に。二冊を合わせて読むことで、異なる観点が彼らの中でどのように絡み合っているのかが、うっすら見えてきます。
さらに依存症は社会的な環境が作り上げる側面があるとも言われています。依存症はいったいどういったものなのか、是非ここから自分なりの理解を作り上げていってください。

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