Q3-2. では「研究」と、今回のテーマである「独学」との違いはどこにあるのでしょうか。

「研究」の手法が必要不可欠なのはどんな分野でも一緒なはずです。それが先鋭化しているのがアカデミアというだけかなと。

結局論文という形にならなくても、その過程での経験はアカデミアじゃないところにいっても、必要なスキルとして活きていくはずです。例えば 八百屋さんが日々売れたものを見て、分析して、次の仕入れに活かすみたいなことも立派な「研究」のはずです。

──研究者と独学者の境目が曖昧になっていく可能性があると。

今は研究者というと職業という考え方が一般的ですが、職種じゃなくなるんじゃないでしょうか。職業であれば研究だけで飯をくえているかどうか、みたいなところが重要になってくるわけですが、例えばプロフェッショナルということであればスポーツだけで飯を食えている人なんて少数です。

業界を支えているのはほとんどがアマチュアです。趣味でやっているレベル、小銭を稼げるレベルから、専門でやっている人までいる大きなピラミッド構造になっているはずです。こういう状況が研究の世界でもあるとより健全なあり方になっていくのではないでしょうか。

専門で食っている人を見て、趣味でやっている人がすげえな、みたいな状況が理想的だと思います。そのあたりが今は非常に不透明かなと。