ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

第六回は東アジア考古学研究の折茂克哉助教授です。折茂先生は東京大学の駒場博物館にて、ご自身の考古学の研究を行いながら、展覧会の準備などの博物館業務にも携わっていらっしゃいます。

現在の研究について

Q3-1. つづいて現在の研究について教えてください。

私がやっていることはいわゆる「研究」ではないと考えています。研究者のやることは文筆業だと思っています。論文が成果になる、いわば作家なので、文章でもって表現することが求められています。と考えると、そういう形で今私は成果発表をしていません。

なので従来の定義では研究者としては認められないわけですね。実際論文の形式としてのアウトプットは少ないですし、査読のある学術誌に何かを出すみたいなことも多くありません。

──なるほど、研究ではなく、学芸員業務が中心ということでしょうか。

研究的なことをやってないかと言われると、そんなことはありません。「研究」に関わる作業や取り組みなどはやっていて、ただアウトプットの形が論文ではないだけだと思っています。

大学博物館という実験場で数えきれないほどの実験を繰り返してきました。展覧会はもちろん、資料整理をどうやって成果として出すか、大学博物館という立場で大学の研究や教育と絡んでいくか、そして独立行政法人化がおこってからは地域との関わりも意識しないといけないことなどです。これらが「研究的な活動」のアウトプットと考えてもらえると嬉しいです。

この活動の中で、いわゆる「研究」と同じようなことをやっています。例えば資料を読んだり、まとめたり、分析したり、仮説を立てて、やってみて、フィードバックを得て、トライアルアンドエラーを繰り返しています。