なんだかすごい話になってきましたね。以前別の先生にインタビューしたときに、著者の書いていることが分かる瞬間について語っておられたのですが、そういう実感があったということでしょうか。

そうですね。本当の意味でその著者を理解できるようになる、という気持ちです。そしてもうこの時点から、研究というよりは、生きるために哲学をするようになりました。

修士論文で自分の実存的な悩みをかなりの程度解決することができたんですが、そのとき初めて他人の苦しみや悩みを本当の意味で引き受けられるようになったと思っています。

今も哲学を研究していますが、正直、仕事としてやるというよりは、自分自身の生きる糧としてやっています。僕の中では哲学は趣味のゲームや音楽に触れることと同じものなんですよね。ですので、自分は確かにベルクソンに救われたけれど、彼の研究をしたいわけではないので、今はベルクソンは読んでいません。

次回は哲学を勉強するあたっての心構えやアドバイスについて伺います。