ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。

第九回は教育哲学研究のNさんです。

興味を持ったきっかけ

Q1-1. 今日はよろしくお願いします。まず最初に、研究テーマについて教えてください。

よろしくお願いします。僕にとっての一番根本的な問いは、人はどのように成長するのか?というものです。そのキーとなるテーマが「習慣」で、糧となると同時に枷になることもあるものです。

たとえば過去のトラウマなど(習慣が形成される契機は)色々ありますが、それと向き合うことが未来に進むことの一つの手段であると考えています。

とても普遍的なテーマですね。どうしてこうしたテーマに取り組み始めたのでしょうか。

恥ずかしいことなのですが、僕の人生には色々な失敗がありました。特に大きかったのが失恋で、どうして自分が失敗を肝心なところで何度もやらかすのかという後悔にさいなまれていたのが修士課程のころでした。

それから本を読んだり、色々なことを考えているうちに、人に舐められたくない、という感情があることが分かりました。これは男として舐められたくないという僕のセクシャリティにかかわる問題も含んでいたんですけどね。

そして、自分の現在の行為を大きく規定していた自分の根本的な感情に気づいた時、自分を苦しめていた過去の重荷が消えた感じがしたんです。過去の自分を許すことができた、過去と現在が一直線につながった、という感覚です。

つまり僕自身の実存的な問題が究極にあったということです。だから今は、そうした体感を哲学的な言葉で紡ぎながら普遍化していきたいなという気持ちがあります。