ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。
第七回は日本中世社会研究の佐藤雄基教授です。
Q6-1. 学会やコミュニティ、初学者向けのネット記事/サイト/チャンネル/SNS、データベースなどがあれば教えてください。
Webで情報収集するなら、やはり東京大学史料編纂所のデータベースは中世史研究に欠かせません。オンラインの記事にも有益なものがありますが、やはりそれも他の人から教えてもらうのが、意外と近道です。
日本中世史はオープンな研究会がいろいろと開かれています。歴史学研究会中世史部会、鎌倉遺文研究会、室町期研究会、戦国史研究会などなど……日本史学はアマチュア研究家も多いですし、ゆるやかなコミュニティは大学の外にもたくさんありますよ。興味関心に応じて参加して、他の研究者や学生に会って話をしてみてほしいです。
――そういう場がたくさんあるのはありがたいですね。初学者や独学者が情報収集したり、モチベーションを保ったりするのに役立ちそうです。
実は、大学で教員をしている私も、独学は他人事じゃないと思ってるんです。いまこの大学で日本中世史の研究者は私だけなので、意識しないとすぐ孤立してしまう。
もちろん、ひとりだからこそ、学会で流行っているテーマにあえて乗っからず、自分の道を突き進めるという良さはあります。そういうスタイルにも憧れますけど、孤独を積極的には勧めにくい。それに、尖ったスタイルの研究者たちも、大学院で研究の基礎をしっかり身に着けていることが前提です。
そういった、基本的な勉強ができていることを前提として、ひとりよがりにならないよう、確からしい情報源にあたっていく、というのがいいと思います。
それから、雑談もすぐれた情報源です。それこそ先ほど挙げたような研究会や、学会のあとの懇親会で、「あの本どうでした?」みたいなカジュアルな会話から、役立つ情報が得られるかもしれないですし。「いやあ、イマイチでしたね」となったらそれはそれで、どうしてそう思ったのか理由を聞いてみればいいんです。