日曜日, 11月 24, 2024

会社名  :株式会社ジブンジンブン

設立   :2024年4月1日

ホームジンブンアトラス『問うことから始める人文学 ージンブン学をジブンごとにー』参考書籍リスト

『問うことから始める人文学 ージンブン学をジブンごとにー』参考書籍リスト

はじめに

本日の講座では人文学の最初の一歩についてジンブンアトラスというワークショップ形式でみなさんにも体験していただきました。人文学について少しでも理解でき、自分でもやってみようと思っていていただければ嬉しいです。

さて人文学は実際にどのように探求されているのでしょうか。そして現場でのどのような問いが立てられているのでしょうか。そんな疑問に答えてくれるのが以下に挙げた本はメンバーが選んだ書籍リストです。実際の研究結果をまとめたもの、研究が行われているリアルな現場について触れたもの、研究者から学生に向けたものなど中身は様々です。

「本は全て読まなければならない」という義務感にとらわれず気になったところから是非つまみ食いしてみてください。

『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』

著:阿部謹也
ちくま文庫

「ハーメルンの笛吹き男」は実在した?ドイツのハーメルンにおける「こどもの失踪事件」が下敷きとなった「笛吹き男」の伝説について、当時の中世ヨーロッパにおける都市の状況からハーメルンの笛吹き男が時代とともに変化していったことまで、大きな枠組みの中での成立過程を探ります。いったい「笛吹き男」とは誰だったのか?本当にこどもはいなくなったのか?誰が伝説を作り上げたのか?是非その謎に迫りましょう!

『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』

著:広瀬友紀
岩波科学ライブラリ

今日の講座でもお伝えしたように人文学のヒントはいたるところにあります。言葉を学び始めたばかりのこどもはどこまでを「犬」として認識しているのでしょう?「猫」とはどのように区別しているのでしょう?他にも「読めれる」などのおかしな言葉遣いの中にも子どもならではの独自ルールがあります。言語学の海に子どもと一緒にまずは足先から入ってみてはいかがでしょうか。

『東大連続講義 歴史学の思考法』

著:東京大学教養学部歴史学部会
岩波書店

この教室にいるみなさんの多くは、「歴史」の授業を受けるのがこれで人生最後かもしれない――歴史とは、国家とは、地域とは、他者とは何か?歴史を専門としない人にも「生きる力」となる、自ら問いを立てて探究していくためのエッセンスが詰め込まれた、東大教養学部1年生向けの歴史オムニバス講義を書籍化。

『知のフィールドガイド 分断された時代を生きる』

著:東京大学教養学部編
白水社

東大教養学部1年生向けの連続講義の書籍化。ミッキーマウス、万葉集、原子力発電から「ダメ男」まで、身近な題材から人文学へと切り込んでいき、自分の価値観がいつの間にかひっくり返されている読後感をぜひ味わってほしいです。ばらばらの「知識」を体系化された「知」へと練り上げるおもしろさを体験してみてください。

『デジタル人文学のすすめ』

著:楊暁捷・小松和彦・荒木浩 編
勉誠出版

人文学に興味ない、自分は理系だという方にこそぜひ読んで欲しいのがこの本です。デジタル人文学(デジタルヒューマニティーズ/人文情報学)とは、ビックデータ解析やワードマイニング、画像解析などの情報技術を活用して人文学の研究を行う学問領域です。デジタル技術を扱う為の情報学的な研究をする人や人文学の研究を深める為に用いる人など様々な携わり方があり、この本ではその一端を知ることができます。 ※この学問領域は変化も早いので、最新の情報を知りたい方は、『欧米圏デジタル・ヒューマニティーズの基礎知識』を読むか、国立情報学研究所や学会、大学のサイトをぜひ覗いてみてください。

『パリⅠ-19世紀の首都』

著:喜多崎親編
竹林舎

「西洋近代の都市と美術」シリーズ第2巻、「芸術の都」パリに焦点を当てた1冊です。絵画・舞台芸術・装飾芸術・イラスト・文学・批評・社交界、そしてパリという都市そのものまで!多種多様なテクストを通して、当時のパリにおける美術を取り巻く社会をつまびらかにします。「美術」という一言に含まれる多様性と深淵性を感じられる1冊です。

『漢文と東アジアー訓読の文化圏』

著:金文京
岩波新書

古典漢語という全く異質の言語を日本語として読み下すという奇妙な行為「訓読」。この営みはいつ、どのように生まれ発展してきたのでしょうか。漢字文化を受容した他の地域ではどのように対応してきたのでしょうか。分かるようで分からない漢字とのさまざまな付き合い方の歴史をひもとく一冊です。

『東と西の語る日本の歴史』

著:網野義彦
講談社学術文庫

関西と関東の食文化の違いは有名なところですが、実は想像以上に東日本と西日本は異なるのではないか?「日本人単一民族説」に異を唱えたのが中世史家の網野義彦でした。古典的な著作ではありますが、東西日本の社会の違いからみた歴史像は、現代の日本列島に生きる私たちにも新しい視座を与えてくれます。

さいごに

人文学は自分が気になったことを調べるところから始まります。「学問」と聞くと難しそうですが、問いを立てて答えを探していく、というと簡単そうに聞こえてきませんか。

本を読むのは勉強のため、ということももちろんあります。ですが、より大切なこととして本を読むことで他の人の問い・興味関心に触れる機会が増えます。本に書いてあることを盲目的に信じるのではなく、むしろ書かれていることに対して本当かなと疑問を抱いたり、筆者の視点を得ることでこれまでとは違った考え方ができるようになることが大事です。

人文学が取り扱う範囲は他のどの学問分野よりも広大で、誰でも今日から人文学を始めることができます。是非これを機会に人文学を自分ごとにしていただければ、それに勝る喜びはありません。

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