不特定多数に見てもらいたい、専門外の人に自分の考えを伝えたいということであれば、SNSや動画という手段が効果的になります。WikipediaをはじめとするWikiと呼ばれる共同編集のサイトも、不特定多数への情報発信に適した媒体です。ただしこれらの媒体は学術的な価値は低いとみなされ、論文などには直接引用することはできません。

▲Wikipediaの画面

個人ブログでの発表や、同人誌での出版は、趣味を共有する人の間の情報共有の場として使われることが多いです。研究者や企業などもブログで自分の考えを発信していることがしばしばあります。専門的な論文ではソースとして用いることはできませんが、学術的な体裁に則っていればさらなる調査の助けにもなりますし、詳しい人からの批評を得ることもできるでしょう。

紀要論文や査読論文、書籍、雑誌といった手段は、投稿のハードルが高く読まれる対象は少ない代わりに、専門的な知見からの評価や引用される機会を得ることができます。批判的に読まれるということは、自分の考えがどの程度(その時代その地域の知識体系のもとで)妥当であるかの試金石となります。逆に言えば、いくら書籍などで自分の考えを発表しても、批判者から見向きもされないような本は、学術的価値に乏しいと見なされます。

いかなる媒体で提示するにせよ、読み手の性質は常に意識しておく必要があります。カジュアルな媒体であればあるほど、批評を受ける機会は少なくなります。批判的に読まれにくいということは、言い換えれば、情報の受け手の多くが、書かれていることを真実として受け取りがちである、ということです。情報の発信者であるという自覚のもとに、誤解を極力減らすような書き方を心掛ける必要があります。