──それまでの鬱屈したものが大学進学でようやく解消された、と。
はい。ただ、高校の先生に「哲学科に行きたい」って言うと、「就職がない」とか「頭がおかしくなる」みたいなことを言われたんです。総合政策系の学部や社会科学系に行けば、つぶしが利くからいいんじゃないか、と。だけど、どうしても哲学を学びたかった。だから、模試の志望欄には哲学科しか書きませんでした。倫理の先生が「哲学科出身の知り合いがいるから話を聞いてみては?」と紹介してくれたので連絡してみましたが、「そんな気持ちで来るところじゃない」と否定されてしまって(笑)。
──それでも意志を貫いたわけですね。
はい。考えてみれば、「本気で研究する覚悟がないと厳しい」と伝えたかったんだと思いますが、当時の自分には全然響かなくて。むしろ「そう言うなら行ってやろう」くらいの気持ちでした。
──確かに、よく言われるのが「哲学科を出ても就職がない」という先入観ですね。
実際にはそんなことはなくて、哲学科出身者を積極的に採用する企業もあるんですよ。論理的に物事を考えて言葉で整理できる人は重宝されますし、むしろ「こういう人材を欲しい」と思っているところが多いと気づきました。当時からそういう確信があったので、先生たちから「やめとけ」と言われても、そこは気にしなかったですね。
──それで大学に進学して、やっと生き生きと学べたんですね。
本当にそうです。「ようやく自分の人生が始まった」という感覚でした。
次回は大学入学後の話について伺います。