研究内容
学問概要
文化人類学は、人間とは何か、という問いについて、文化の観点から研究する学問です。典型的には、世界の違う地域に住む、自らと異なる文化を持つ人々の中に入っていき、「参与観察」といった方法でフィールドワークを行います。そして、その人たちのモノの見方、世界に対する理解のあり方を学びとります。さらにそこから、自分たちがどのように世界を見ていたか、という気づきを得ます。
東大の場合は、まず理論をきっちりと学んでからフィールドに赴くという傾向があります。このため、本格的なフィールドワークは博士課程以降になります。
基本的な書籍
祖父江孝男『文化人類学入門 増補改訂版』中公新書、1990
留学
学部では、教養学部が用意する学部生向けプログラムを利用して、自分の興味のある地域へ、半年~1年程度の交換留学を行う学生が多いです。文化人類学の研究手法としてよく知られるのがフィールドワーク(現地調査)ですが、東大では博士課程で行うのが一般的です。
時間割・授業
東大では、大学2年生の後期と3年生の前期で、文化人類学の過去から現在にいたる主要な理論・考え方を学びます。また大学3年次の1年間をかけて、自ら選んだ行先でフィールドワークを行い、調査対象の人々と一緒に過ごして「参与観察」を行い、学んだ理論と実際に自ら観察した事象を結びつけながら、レポートにまとめます。
卒論
大学4年生の1年間をかけて卒業論文を執筆します。テーマは自由に設定できます。卒業論文の段階では、フィールドワークは行わず、自らが関心のあるトピックを文化人類学の理論から考察する内容が多いです。過去の研究題目は、文化人類学研究室のHPから見ることができます。
高校までの繋がり
高校までの勉強との繋がり
履修することが必須の教科はありませんが、とくに地理、世界史、国語、英語などの教科は大切にするとよいでしょう。世界各地の自然、社会、歴史に関心・知識を持っていること、また日本語・外国語問わず文献を読めることは、文化人類学を学ぶための土台になります。
受験で必要な科目
特になし。
進路
就職先・大学院進学
官公庁、商社、メーカーほか、それぞれの卒業生の興味・関心に従って幅広い分野に就職します。ある程度共通した傾向としては、海外とかかわりのある職種を選択するケースが多いです。院進も盛んで、年によっては半分程度の学生が大学院へ進みます。
関連する資格
必修科目のみで取得できる資格はとくにありません。
学生の声
楽しいこと
文化人類学の楽しみは、普段なじみのない世界の様々な人々に対する研究を知る中で、「こんな暮らしもありうるんだ!」「こんな風に世界を見ることもできるんだ!」という新鮮な気づきを日々得ることができ、自分の暮らしや「当たり前」だと思っていることが、実は決して当たり前でないことを知ることができることです。
できないとつらいこと
文化人類学のフィールドワークでは、国内外問わず、自分とは違う常識を持った人たちとかかわり、その人たちの日常を観察します。自分と違う背景を持った人を尊重し、配慮できることが重要です。また、現地での調査には現地語、文献を読むには英語等の外国語ができる必要があります。語学は得意であるに越したことはありません。
その他
学費・研究費用
東大の文化人類学コースでは、学部生のうちは文献の読み込みや、近場でのフィールドワークの実践がメインとなるため、授業のために大きな出費を要することはありません。大学院以降に海外でフィールドワークを行うことになれば、その調査費等は自分で工面する必要があります。
公式HP
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