ジンブン独学ノートの実践編では、実際の研究について紹介します。研究へのモチベーションから、どのように日々の調査行われているのかまで、インタビュー形式でお届けします。
前回に引き続き今回もミュシャ研究を行っているMさんです。今回は研究の手順について伺います。
研究の手順
Q2-1. 研究の背景については理解できました。それでは、研究はどういったことを最初に行うのでしょうか?
最初に行うことは、先ほども述べたカタログ・レゾネの収集です。例えばミケランジェロのような有名な画家であれば大学の図書館でも手に入りますが、ミュシャのカタログは置いてありませんでした。
代わりに、ミュシャには作品の管理財団があって、本ではないですが作品のリストが公開されているので、そちらを参考にしました。
それに加えて、ミュシャの画家人生を見通す作業も必要でした。これについては、ミュシャに関する研究成果を片っ端から読んでいきました。
Q2-2. いわゆる文献渉猟[1]自分の研究に関連する書籍や文献を集めること。【ジンブン独学ノート概論:検索】参考ですね。文献はどうやって探したんでしょうか?
役に立つのは展覧会のカタログです。研究者が展覧会に解説文を寄せているので、そこに載っている方の名前を検索して、ミュシャに関して書いているものを拾い上げます。また、引用されている参考文献などもメモして図書館で探しています。
もう1つの方法は、大学の検索DBにキーワードを打ち込んでブルドーザー式に検索をかけています。すべての資料が関連するものとは限らないので、その中から役に立つものと立たないものなどをより分けたりしました。
ーー少しマイナーな海外の画家となると、大学で手に入らない文献もありそうですね。
国立国会図書館に行って探したり、また美術館にも資料室がありますから、国立新美術館[2]2007年に東京・六本木に開館した国立美術館。コレクションを持たず、展示会の開催を中心とした芸術活動を行っている。に入り浸って書籍や展覧会カタログを検索したりしました。
美術館資料を検索するための美術館図書横断検索DBというのもあり、こちらは一般に公開されています。海外の論文も取り寄せることはできます[3] … Continue readingが、非常にお金がかかるので本当に重要な論文のみを厳選しました。